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セミナー『安心して食べたい! 〜食品表示を学ぼう〜』に参加して
2007年9月27日 東京田町・女性と仕事の未来館ホール

  

  このセミナーの主催者を表してきます。

 ・健康事業総合財団「財団法人東京顕微鏡院」
 ・医療法人社団 こころとからだの元気プラザ

  そのセミナーの講義に立った三人の講師の肩書きと講義テーマは
 ・消費期限・賞味期限表示、原料・原産地表示
講師:佐藤 惠氏 (独)農林水産消費安全技術センター部長
 ・食品添加物の表示とアレルギー表示
講師:板倉 ゆか子氏 (独)国民生活センター総務企画部調査役
 ・栄養表示、特定保険食品、栄養機能食品
講師:池上 幸江氏 大妻女子大学 家政学部教授


  それぞれの方の講義持ち時間は30分。最後に (株)食品化学広報センター代表取締役で、当(主宰)財団理事である正木英子氏がモデレータ(司会進行)役になり、今まで講義を担当した三名の講師を交えてのパネルディスカッションが50分間行なわれた。以上が全式次第である。

 このパネルディスカッションの内容を先に書いてしまうと、このセミナー参加希望を一般公募した際、その申込者に事前の質問を受け付けて、その際に寄せられた疑問内容をそのディスカッションのテーマとして、モデレータが読み上げ、その内容に従って専門担当の講師が回答していくもの。講義の中で既に語られていた内容にニアイコールなものもいくつかあった。



 
  

  各パーツの講義進行形式は全く同じで、講師たちがノートパソコン上に作成した講義ファイルの説明文や表・図が、プロジェクター(?)に出力され、其れがスクリーンシートに大きく映される。会場の聴講者は、スクリーンと同じ図や説明文のプリントされたものを見ながら、講師の補足説明や、事例の話を聴いていき、内容を咀嚼して理解していくもの。

 PC資料は、Windows・オフィスソフトの『WORD』か、『POWOR POINT』で作られていると思われる(最近の資料作成ソフトは色々あるから定かではない)。

 この催しに自分が参加するのに一番期待を持ったのが、我々の食生活を危険にしている事態は何か。しかしその期待に対し、セミナーのコンセプトは日本で生産(or輸入)・製造・販売(流通)する食品に義務付けられている各種表示の周知説明であった。この中に私の期待を適えた内容は、想定の枠外でいくつか得られた。そのことは後で示す。

 今の加工食品メーカーが製造段階で最も重要視している事は何か、自分が想定するに、様々な材料の劣化を出来るだけ抑え、市場に出来るだけ永く置いて販売機会を持たせておきたい、という事だろうと思う。その企業論理が時に、暴走して消費者の健康に害を及ぼすことに成る事例は、いまだに日本の食料品販売現場でよく見られる。製造者の作為によるもの、時に食品全体に事を例に取るなら、販売者に因るものすらあった。

 今ではもう、食品衛生法で使用(行為も?)禁止になっていると思うが、鮮魚の目ン玉に、黒い染料を注入したり、スライスされた牛肉や豚肉が重なり合って変色した部分に、何かの液体色素とか脱色剤を霧吹きなどを使って隠したりした事もあったと聞く。

 最近、耳に挟んだが、今度は何処かのレストランでは、標準的なステーキ用の牛肉にラード(牛脂などだと思う)を巧い具合に注入させて、高級霜降り肉に変身させてから高い値段で消費者に食べさせることがあるという。

 此れって、全部ワル知恵じゃないか、と言うことで食品全般に、使用して良い添加物とその量的範囲を定めたり内容物の表示を義務付けたりして、消費者保護の立場に立って基準となる法律を関係省庁が策定した。例に挙げたような、してはいけない行為まで定めたものもあると思う。

  
1図



2図


  上に上げた二つの図は、佐藤 惠氏 (独)農林水産消費安全技術センター部長の講義の参考資料として冊子に載せられていた図です。1図が供給者側に守らせるべき法律として、徹底を図らせている。図に表記されている法の管轄は主に農林水産省。−−−但しその法律の適応する範囲によって、一部が地方自治体などで行政しているものもあります。法適応の網羅性は多岐に及ぶために色んな管轄の分割があると思います。

 兎に角もズルの防止も考慮されてはいる。でも、ズルい事よりも、衛生・健康面に配慮した内容としては、安全性や危険傾向についての何かが抜け落ちているような気がする。率直に言って、それ以外にもどうなっているかを調べに行かなければならない。そう、水産物、農産物供給者を対象とした同等効力を持つ法律がどうなっているか。

 自分が聴講したセミナーは、主催者のセミナー内容の構成に片手落ちと言う意味合いはないのだが、消費者は食品全体の安全基準については別途の機会を捜してそれを得て初めて、必要充分な理解と対応が出来る。他の省庁管轄の法律があって行政を行なっているものだってあるかもしれない。

 その延長線上にあることだが。私たちが外食をしたときの、店が使用する原材料と調理場環境の衛生面・健康面の安全性が不透明なのだ。『きっこのブロク』でブロガーきっこさんが、アメリカ産牛肉輸入再開を政府が決めた際、その肉に狂牛病危険が払拭されたもので無いと訴えた上で、アメリカ産牛肉を使用する食品メーカーの名と、大手外食チェーン店名を書き出していた。

  吉野家の牛丼は、輸入再開で一気に従来通りの全面提供ではなく、提供特定日を週1だったか、月1だったかに限定して、牛丼の販売を再開した。その時の各お店の店長も、アルバイトのお兄さんお姉さん達も、きっと待ちに待った本来の吉野家に確実に戻る事を確信して、開店前のミーティングの際或る者は泣き、或る人は奮い立って、持ち場に就いていったと思う。そして、お店になだれ込んだお客にも、感無量なものが有ったのではないだろうか。

 おっかなびっくりの再開だったのか、輸入量の確保が少量だったのか、経営戦略にあるものだったのか其れはこちらには判らないが、吉野家の牛丼を食べる人は、食べたくて食べているのだ。店と客との確固たる両者承認、あるいは信頼でこの牛丼は提供され食べられている。お店も客も牛丼が生命線だ。これが将来「吉野家よ、お前もか!」となる事を想像する事は出来ない。

  「おばちゃん、丼の底に10円玉が沈んでいたよ」・・・ラーメンを食べ終わったところでその言葉を若者が発したら、「あら、もうかったねぇ」と笑って答えたお店のおばさんが居たと、読者書き込み系本で読んだ。ホントかどうかは知らないエピソードだが、もっと不衛生な事が日常茶飯に在ると思う。保健所の定期監視はゆるゆるみたいだし、誰か食中毒等で「あそこがクサイ」と見込まれたケースでないと、きちんとここの行政は対応しないのではないか、あくまで印象なのだが。何か交通違反者と交通事故との系統にそっくりだ。交通違反者を取り締まる事は警察にとって、実入りもあるから、時々熱心にやる。

  学校給食で使用されるジャガイモにコバルト照射をして、発芽を抑制した上で給仕場に納入する事があったと聞いた。もう四半世紀も昔の事である。サイト検索すると、どうも今でも一部にこの方法による発芽抑制が通常に行なわれているという様子である。どういう危険性があるかは詳しく知らないが、学校給食場の話の経緯と後日談はこうだ。

 先ずは、エピローグの話から。子供を小学校に幾人か通わせている或る母親は、当時から無農薬野菜等自然作物に自身が力を入れて、委託生産を農家に依頼して(ご本人は当時畑地を持っていなかった)、生産された作物を此れもまた賛同者の協力で、或る場所に販売所を確保して販売していた。その際、啓蒙的に危険性のある事例等をチラシに印刷して配布していました。主婦同士のコミュニケーションが良く取れる集合住宅に自分は住んでいるので、この話は細君から聴きました。

 細君がこの後しばらくたって、その啓蒙活動している母親の、例のコバルト照射されたジャガイモについてのエピソードを私に話して聞かせてくれました。

 「こんな危険なもの(例のジャガイモ)を子供たちに食べさせてはいけない、と担任の(男性)教師に訴えに行ったんだって。それから時々その先生と話す機会があって、その度に有害食品の危険性を伝えていくうちに、その影響でその先生、其れまで教室で生徒と一緒に給食を食べていたのを止めて、お弁当を奥さんに作ってもらい、職員室でこっそり食べるようになったんだって」


  

 さて、数日間の休憩タイムをいただいた後の、セミナー再開です。この先の内容は、簡単に言うと、食の安全そのものの話だけに留まらず、現代社会に生きる我々が晒されている様々な生活環境の特異性についての考察です。この度の参加したセミナーから得た知識・情報と言うものではなく、そのセミナーを聞いていて、触発ないし連想されていった内容です。

  激しい下痢が1週間ほど続いた事があります。1986年夏、細君と香港旅行から帰ってほんの1日か2日後から始まりました。トイレから出てしばらくすると、もう直腸に溜り始めて、体が排泄を求めます。ほとんど液体状の下痢便です。

 下痢は、必ずしも飲食だけの原因で起こるものではないと思うので、旅行中の暑気当たりを含め、過労などに因る体力消耗・抵抗力低下が引き起こした事も考えられます。通勤時の必死のガマンはさすがに辛いものでした。ビフィズス菌を、取り入れることを思いついて其れを飲んだのですが、元々が峠を超えた頃だったのか、たちまちに治りました。

 人の体内に在る善玉細菌等の効力と相乗して、体内に入った悪玉微生物に対する人体の抵抗力は、日本人の古来からの食生活習慣で自然に備わったものであります。綺麗に手を洗って食物を扱うことで危険性無く提供していた食品業者、添加化学薬品が殆ど含まれない食材、露地栽培された農作物、食器洗いに使う自然界の洗剤(灰など)、そして飲料の水そのものですら、井戸の汲み上げたもの。こういうものを長い時間幾世代も摂取していくうちに出来上がった抵抗力有る肉体を私たち日本人は持っていました。そして、傷んだ食材を見分ける臭覚と判断力を皆が持っていた。

 やがて、体内に取り入れる食品そのものが変質していった事が大きかった。当然それらは自然力を失わせたり、減少した物になって提供されて、私たちの体をひ弱にさせていったのではないだろうか。よく、キャンプ地などで自然に触れて食べる食事のなんと旨いことか。我々の肉体から訴えかけてくる郷愁感が現われているに違いないのだと思う。

  かれこれ10年以上は続けている飲み物があります。『プーアール茶』です。脂肪を体外に排泄する作用が有るそうです。広い意味で漢方による健康志向です、効果途上中です。飲料品メーカーでは紙カップ入り、缶入りを出しているけれど、私は専用薬缶(やかん)に茶葉を入れて自家作りしています。冷まして容器に入れて、一回に2リットルほど作って、夏は二日内、冬で三・四日で消費しています。

 主婦達が分け合ってカスピ海ヨーグルトを作ることがあって、細君が早速どなたからか貰って、食卓に毎朝出してくれた事がありました。生憎、途中でヨーグルトに醗酵する菌株がくたばってしまい、其れを機会にお終いになりました。細君は、面白いところが有って、ドライフラワーを枯らした、と言うか腐らせた事などもあります。生き物なんだからこういうことがあって当たり前だと自分は思います。

 人間以外の全ての生き物は、全面的に自然に順応ないし支配された状態で、生を営んでいます。文明を得た人間だけが、まずその食生活で最初に加工を加えたことが始まりとなって、様々な加工食品が出来上がりました。最初は加熱其れも直接火に焙るものだったと思う。壺やカメに水と食材を入れて煮立てて食べる。塩味などをつける。香辛料を塗りつける、触媒を使う、醗酵菌を利用する。そのような過程の行き着いた先の『今』を今度は基点として、この先私たちはどんな食品を提供されていくのだろうか。宇宙食−−−殆どの料理は、チューブに詰められ、ハイ此れはカレーライスのチューブ、ハイ寿司のペーストなどと食品売り場に並べられていくかもしれない。いま、その予測をうかがわせる商品も出始めています。そしてやがて−−−

 「はい、お水で溶かせば美味しい『冷し中華』そのものが出来上がりますよ」
 Q「麺や胡瓜やハム・卵の形にちゃんとなるの?」
 A「それぞれの粉末やペーストに形状記憶構造を残していますから」

 「はい、水で溶かせば、ミネラル水の出来上がり」
 Q「ミネラルの粉末が注いだ水に混ざるだけじゃないの?」
 A「いいえ、水分も粉末の中に閉じ込められて居るんです」
 Q「でも、溶かす水が無ければ水が飲めネーって事ジャン」
 A「・・・ ・・・ う〜ん」

 メーカーは、色々な加工食品を発明しようとしています。飲めば水分が補給できる『水の粉末』の製造を考えるみたいな事を日頃行なっていないだろうか。

  最後の話として、私たちが気をつけなければいけない事を考えて行きます。

 はっきり言って、日本の行政を担う省庁が今国民の生命をないがしろにしている状況が顕著になってきました。ゆとり教育を謳った後、今訂正の方策を企てている文部科学省は食に直接関係してない。防衛省も然りでは有るのだがしかし、彼ら官僚はすべからく体制側の人間となって国民に、彼らの本来公僕として持つべき精神を捨てて、現代社会における勝者にならんとする精神のみによって実際の庶民の生活を支配しています。

 食の危険について言えば、1996年に『O157』大腸菌による食中毒事件がありました。原因食材を『カイワレ大根』として厚生省(当時の監督官庁)が結論付けて、いくらなんでもカイワレ大根では農水省は喧嘩を吹っかける必要があったのに、事を穏便にして厚生省と妥協して、自らの国民に対する行政義務を放棄している。此れは私の記憶に残る官僚に対する怒りでありました。同じ事で、国民の健康と生命の安全を守る省庁として果たすべき厚生労働省・農林水産庁の怠りは既に定着している印象があります。

 今回のセミナーで発表された国民にアピールする食の安全に対する啓蒙活動には、隠された不安全要素が、悪く言えば隠蔽されている印象が在ります。本来自然界の大海原から捕獲されて私たちの食卓に届いていた海産物は、次第に養殖によって育成されたものが多くなりました。どんな食餌を与えられているのか。抗生物質・化学飼料、寄生虫等殺菌剤などを浴びせられた魚や魚介類が届けられているのも既に疑う余地の無いものと思います。

 食材を生産したり提供者する業者がいかようにも作為出来ているだろう事は、昨今の食に対するメーカー犯罪を見れば明らかなのです。実際に消費者の許に届けられていたうえでの発覚なんだから。

 これらの資料・データは既に関係省庁で把握されていると思う。これに関わる官僚はこう呟いていないだろうか。

 「不正・偽装はテッテー的に処罰する」 or 「おっ、この業界突っ込めば何か得られそうだ」

   此れにてセミナー終了となりました。 (後日、官僚の呟きを追加しました。想定の付け落ちです)

 
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